押入れに入れる箱を選ぶなら、先に測るのは高さです。奥行のほうは、売る側がだいたい面倒を見てくれます。フィッツケースの押し入れ用は商品説明に「奥行き約80cmの押入れにぴったり入る、奥行74cm」と、相手の寸法まで添えて書いている。押入れに敷くすのこも、アイリスオーヤマは同じ名前で奥行75cmと80cmの2つを用意していて、大きいほうには「従来のスノコでは隙間の生じてしまう奥行80cmの関東間や中京間の押し入れにピッタリの大型サイズです」と付いています(アイリスプラザの商品ページ)。押入れの奥行が1つに決まっていないぶんを、商品の側が吸収してくれている。
高さは誰も吸収してくれません。同じ扉の中に、高さが30cm近く違う空間が上下ひとつずつ。
結論
しまうのが布団や毛布で、引き出しの形に畳めないなら、ケースをいくつ並べても収まりません。下段の高さを上下に割る伸縮ラックを見てください 楽天で見る
この記事の判断は、各商品ページとメーカー公式サイトの記載をもとにしています。
では、その3つの段はどれくらい違うのか。
真ん中の段は、呼び名が2つある
押入れの段の呼び方は、資料によって入れ替わります。収納用品メーカーのlike-itは押入れの収納アイデアのページで「押入れは、上段・中段・下段の3つに分かれおり」と書き、上部の収納部分を天袋と呼びます。建材メーカーのDAIKENは「押し入れは、天袋・上段・下段の3つのゾーンに分けることができます」。同じ3つの空間なのに、真ん中が中段になったり上段になったりする。
呼び名はどちらでもかまいません。ここから先は上から天袋・中段・下段と呼びますが、買うときに効くのは名前より、中板の上と下をそれぞれ当てた実寸のほうです。
高さの数字は、like-itの寸法の測り方のページにあります。中板の上が90〜100cm程度、下が65〜75cm程度で一般的には70cm。間口は165〜180cm程度、平均で170cm前後。奥行は75〜85cm程度。
高さ70cmの棚。高さ95cmの棚。頭より上の物置。奥行だけが共通していて、あとは別の家具です。
押入れ全体に合う箱を探すのは、ここでやめていい。3つのうちどれを埋めるのかを先に決めたほうが、候補は速く減ります。
5点を、段に当てて並べる
| 商品(店) | ORZOの見立て | 奥行 | 高さ | 「押入れ」の出どころ | 商品ページ |
|---|---|---|---|---|---|
| フィッツケース 奥行74cm 押し入れ用(びーんず) | ◎ 中段と下段の基準に置く | 74cm | 18・23・30・35cm | 商品説明の本文(理由つき) | 楽天で見る |
| アイリスオーヤマ AA-740E 4個セット(マイルーム) | ○ 下段でフタを開けて使うなら | 74cm | 31cm | 商品説明の本文 | 楽天で見る |
| アイリスオーヤマ SOR-370H 2個セット(収納宅配館) | ○ 下段を上下に割るなら | 37cm | 62.8cm | 店のカテゴリと商品説明 | 楽天で見る |
| アイリスオーヤマ W-543(暮らし健康ネット館) | △ 前後2台で置く前提なら | 40cm | 62cm | 商品名の末尾 | 楽天で見る |
| 霜山 中身が見える布製収納(しもやま) | △ 軽い布物だけ | 42cm | 22・30cm | 商品名の末尾 | 楽天で見る |
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印は「どの段に置けるか」で付けました。◎=最初の1点として勧める。○=埋めたい段と使い方が噛み合うなら。△=先に確かめることがある。◎○△は各商品ページで確認できた仕様に基づくORZOの3段階の判断です(測定値ではありません)。上から、段への当てはめが確かな順に並べました。
奥行は5点とも出しています。段の高さのほうは、5点とも黙っています。高さは商品の側から教えてもらえない数字です。 メジャーは、買い物かごより先に手に取ってください。
値段もレビューの件数も、下のカードに出ている表示のほうが新しい。記事の側の数字は、書いた日で止まります。
幅は39cmと44cm、奥行74cm、高さは18・23・30・35cmの4つ。「押し入れ収納(奥行き74cmタイプ)は全部で7種類のサイズ展開」と商品説明にあります。日本製で、積み重ねてもたわみにくい前枠付き。
高さの刻みが効いてくるのは、段に当てたときです。下段が70cmなら30cmと35cmを積んで65cm、5cm残る。中段が95cmなら30cmを3つで90cm、やはり5cm残る。ケースの高さを選べるということは、段の高さに合わせて余りを削れるということです。
キャスターは別売りの「フィッツ ネジ式キャスター40(ストッパー付)」で後から付けられます。ただし取り付けると高さが5cm増える、と注意書きがあります。さきほどの下段65cmにキャスターを足すと70cm。残していた5cmがそこで消えます。いちばん低い74-39S(高さ18cm、幅39cmのほう)にはそもそも取り付けられない、とも書いてあります。
私はこの箱を基準に置いて、残った高さを他で埋める順に考えます。段に合わせて高さを選べることが、押入れではいちばん強い。
奥行74cmの箱を、引き出し式で買うか前開き式で買うかまで迷っているなら、開き方を目線の高さで振り分けた記事に3点ぶんの仕様を並べてあります。段の高さを先に決めて、そのあとで開き方を選ぶ順番で読むと速いはずです。
外寸は幅40×奥行74×高さ31cm。内寸(底面)が幅29.3×奥行62.5cmと、底の実寸まで出ています。1個あたり約1.47kgの4個セット。
押入れの話に効く行は3つです。「押入れやクローゼットなどで大活躍!」「奥行きはなんと74cmと大容量!!」「コロ付きなので、移動もスムーズです。」。店のカテゴリは「押入れ収納 > 押入フタ式収納 > キャリーストッカー」で、引き出しではなくフタを開けて上から入れる形になります。
高さ31cmを下段70cmに積むと、2つで62cm。幅40cmなので、間口170cm前後なら横に4つで160cm。下段を4列×2段の8個で埋める計算になります。1個1.47kgの箱を8個。空の状態で約11.8kgが、押入れの床に乗ります。
ただ、フタ式は積んだ下の箱を上からどけないと開きません。下段をこれで8個ぶん埋めるのは勧めません。手前の列だけ2段にして、奥は1段で止める。上に載せる箱へ入れるのは、月に一度も触らない物だけにします。
幅72〜92cmの伸縮式、奥行37cm、高さ62.8cm。耐荷重は全体で約30kg(幅72〜82cmで使用時)。材質は樹脂部分がポリプロピレン、パイプが塩化ビニル被覆鋼管。天面はすのこ形状です。店のカテゴリは「押入れ収納 > 整理棚」、商品説明も「押入れのサイズに合わせて伸縮できる整理棚です」。
これは箱ではありません。下段の65〜75cmに対して高さ62.8cm。天面に布団を載せ、脚の間にできた空間へ別のものを入れる形になります。幅が伸びるので、間口170cm前後なら2台で埋まります。
耐荷重の但し書きは読みどころです。30kgという数字に「幅72cm〜82cmで使用時」と条件が付いていて、92cmまで伸ばした状態の数字は出てきません。伸ばすほど天面は広がるのに、載せてよい重さのほうは分からなくなる。私は伸ばさない前提で数えます。畳んだ布団を上に置く棚で、重さの上限が分からない使い方はしません。
幅54×奥行40×高さ62cm、約4.1kg、完成品の3段チェスト。収納の目安は1段あたりYシャツ8枚。セーターなら4枚、バスタオルも4枚と書かれています。
商品説明の1行目が「前後方向への移動がスムーズにできるローラー付きチェストです」。そのうえで「キャスターはありませんが、前後方向可動の2cm弱のローラー付きです」と、キャスターとの違いまで書き分けてあります。左右には転がらない。前後にだけ動く。
DAIKENは押し入れの収納術のページで、奥行き40cm程度の衣装ケースを2つ買って前後に配置し、季節ごとに前後を入れ替える方法を挙げています。奥行40cm、前後方向のローラー、高さ62cm。この3つは、その運用にそのまま乗ります。
ただし本文が用途として挙げるのはクローゼットで、押入れの語は商品名の末尾に並んでいるだけです。前後2台で使う気がないなら、奥行40cmは押入れの中で35cm以上を余らせます。1台だけで買うなら、この形は勧めません。前後を入れ替える運用に乗せる気があるときだけ、2台で。
小がW55×D42×H22cm、大がW55×D42×H30cm。材質はポリエステル、綿、リネン、PEVA。片側に窓が付いていて中身が見えます。使わないときは小さく折りたためる、と商品詳細にあります。2個・3個・4個から選ぶ形です。
段の話でいちばん効く仕様は、取っ手が4箇所という一行でした。商品説明が名指しするのは「ベット下から引き出したり、棚の上に乗せても取るのが楽ちん」。床すれすれと、頭に近い高さ。掴む所を作ってあるのは、その両方でした。
湿気については「防塵・防湿の二重構造」「二重構造でホコリと湿気から衣類を守ります」と載っています。二重構造がどういう作りなのかは、そこから先に出てきません。抗菌も防カビも、うたい文句のほうに出てこない。この箱は防湿の道具として数えません。窓が付いていて軽い、布の箱として見ています。
重さはどこにも書かれていません。頭より上へ上げる箱で最初に要る数字が、空欄のまま。手洗い可、洗濯機と乾燥機は不可、という注意書きのほうは載っています。重さの分からない箱を、頭より上へは上げない。霜山は中段までで使う箱として見ています。
下段はしゃがむ場所。だから足が付く
like-itは下段について「出し入れ時にしゃがむ必要がある下段には、保存食を入れたストッカーや書類を入れたファイルなど、重量物の収納に向いています」と書き、そのうえで「押入れの下段に収納するときは、キャスター付きのアイテムを使うと出し入れしやすくなります。特に重量物が多い場合は有効です」と続けます。
重い物を置く場所だから、しゃがんで引き出すことになる。しゃがんで引き出すのがつらいから、足を付ける。順番はこれだけです。
DAIKENはもう一段先まで書いていて、キャスター付きの収納棚を押し入れの前後に置けば、季節ごとに前後を入れ替えるだけで衣替えが終わるとしています。奥行75〜85cmの穴に、奥行40cm程度を2つ。ここでW-543の「前後方向可動」という書き方が効いてきます。左右へ逃げないローラーは、前後に往復させる運用のための足です。
最初はキャスターの有無を、下段向きかどうかの目印にしていました。今は逆に見ています。足が要るのは、下段に入れる箱だけです。 中段と天袋の箱に足は要りません。キャスター代を払うのは、下段に置く1台のぶんだけでいい。フィッツケースの別売りキャスターも、その1台に付けるかどうかの話で終わります。
天袋を開けるのは、年に数回
DAIKENは「軽いモノは上段、重いモノは下段に収納する」を原則に挙げ、「とくに、上段(天袋)はスペースが限られているため、重いモノの収納には向いていません」と添えています。like-itも天袋を、使用頻度の低いものを置く場所としています。
天袋に置くものは、重さより先に頻度で決まります。年に数回だけ開ける場所へ、脚立か背伸びで手を伸ばす。そこへ重い箱を上げるのは、置く日と下ろす日の2回とも危ない。
一年に数えるほどしか開かない場所へ何を置くかは、フタの開き方の話でもあります。開ける回数で候補が割れるところは、上開きと前開きを5製品で並べた記事に5製品ぶん並べてあります。ただ、天袋で迷う必要はありません。開けないと最初から決まっている段なので、上げ下ろしの軽い上開きで十分です。天袋の箱にお金を掛けるより、そこへ上げる物のほうを減らすのが先。
押入れの下段に、余っている衣装ケースをそのまま入れようと思っています。奥行が足りているかだけ見ればいいですか。
先に見るのは高さです。下段は65〜75cm程度で、そこへケースを積み上げていくことになります。手持ちのケースの高さを足して70cmを超えるなら、積める段数のほうが減ります。
高さが余ったときは、上に何か載せてもいいんでしょうか。
載せる相手の耐荷重によります。今回の5点で天面に何kgまでと書いてあったのは、伸縮ラックの全体30kgだけでした。数字が出ていない天面には、軽いものを1つまでにしています。
湿気は、箱を替えても止まらない
DAIKENは押し入れを「壁に囲まれた空間のため、湿気が溜まりやすい構造です」と説明し、「すのこを床に敷いて空気の通り道を作ったり、除湿剤を定期的に交換したりと、こまめな対策が必要です」と続けます。押入れという入れ物の側の性質なので、中に入れる箱を替えたところで消えません。
冒頭のすのこに戻ります。アイリスオーヤマの押入れスノコはSN-35が幅35×奥行75×高さ2.5cm、SN-40が幅40×奥行80×高さ2.5cm。押入れに敷いて使うプラスチックタイプのスノコで、SN-40の商品ページには抗菌・防カビ加工済みと書かれています。
書いてあるのは、すのこ本体の加工まで。敷いた床が抗菌になるとも、上に載せた箱の中が乾くとも書かれていません。湿気にお金を掛けるなら、防湿をうたう箱を選び直すより、すのこと除湿剤を回すほうに掛けます。壁に囲まれているという押入れの側の性質は、中身を入れ替えても動きません。
すのこを敷くと、下段の使える高さが2.5cm減る
床にすのこを敷くなら、下段の有効高さはその厚みぶん減ります。SN-35もSN-40も高さ2.5cm。下段65〜75cmから2.5cmを引き、キャスターを付けるならさらに5cmを引く。段の高さを測るときは、箱の外寸だけでなく、床に何を敷くかまで含めて引き算してください。
押入れ対応と書いてあっても、高さを測る前に買わなくていい
「押入れ」で上位に出てくるキャスター付きチェストがあります。アイリスオーヤマのウッドトップチェストWTW-544。商品名の並びには「押し入れ 押入れ収納」が入り、商品説明にも「クローゼットや押入れスペースも有効活用できます」の一文が入っています。
寸法は幅55.6×奥行41×高さ82cm。完成品で重さ7kg。耐荷重は天板が10kg、引き出しは1段につき4kg。
高さ82cm。下段は65〜75cm程度です。入りません。
入るとすれば中段の90〜100cmですが、中段は中板の上にあります。7kgの本体を持ち上げて載せることになり、しかも下段の出し入れを助けるためのキャスターは、そこへ上げた時点で何の仕事もしなくなる。商品名に「押入れ」が並んでいることは、その押入れのどの段に入るかを何も言っていません。 段の高さを測る前に、押入れ対応をうたう家具は買わなくていい。
WTW-544そのものが悪い家具だとは思いません。リビングに置く木天板付きのワイドチェストとしては完成品で、天板と引き出しの耐荷重まで出ている。押入れの下段の高さに当てたときだけ落ちる、というだけの話です。
段を決めてから、箱を決める
押入れは、奥行の数字で語られることの多い場所です。74cmか、80cmか、40cmか。そこを外せば手前が余るか、奥に届かないかのどちらかになるので、数字そのものは正しく効きます。
それでも最後まで残るのは高さです。年に数回だけ開く天袋、毎日触る中段、しゃがんで引く下段。同じ押入れの中に、性格の違う置き場所が3つ入っています。
買う前にやることは、そのうちどれを埋めるのかを決めて、その段の高さを測ること。箱を選ぶのは、そのあとで間に合います。
押入れでこの順番になるのは、中板を動かせないからです。ベッド下のように脚の差し替えで空きの高さが変わる場所なら、箱を先に決めて空きのほうを合わせる手も残ります。押入れではその手が使えない。だから、測るのが先です。



