押入れの上段は、たいてい目線より上にある。そこへ手を伸ばして衣装ケースの取っ手を引くとき、中身は下からほとんど見えていない。

引き出し式はそのまま自分の方へ引く。前開きは扉を開けて、そこに手を入れる。同じ「衣装ケース」でも、腕の動きがまるで違う。

高い場所に置く箱は、この動きの差だけで決まる。

結論

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天馬 KABAKO カバコ クローゼット 前開き(S/M/L/スリム/ワイド 単品・セット)

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¥2,070税込

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床に置いて奥まで出し入れしたいなら、引き出し式へ。1段あたりYシャツ約15枚という目安まで商品ページに書かれています 楽天で見る

この記事の判断は、各商品ページとメーカー公式サイトの記載と、購入者レビューの読み込みをもとにしています。

では、引き出し式はどこまでが持ち場なのか。

「前開き」は、どこまで同じ言葉か

「前開き」という言葉は、ORZOの別の記事にも出てくる。フタが上に開くタイプと前開きを比べた記事では、フタを持ち上げる上開きと、フタが手前に開く前開きの収納ボックスを並べた。あちらの前開きも、本体を動かさずフタだけが開く点は同じ仲間になる。

引き出し式は本体ごとレールで手前に引く。前開きは本体を動かさず、扉だけを開ける。開き方の分かれ目が2つあるのに、「前開き」という同じ名前が両方の対比に使われている。

だから検索窓に「前開き」と打っても、欲しい動作までは絞れない。効くのは扉の向きより、出し入れのあいだ本体が動くかどうかのほう。目線より上に載せる箱を探しているなら、本体が動かない側だけが候補になる。

引き出しは、どこで止まるかで別物になる

雑誌『LDK』が無印良品とカインズの引き出し衣装ケースを実機で比べていて、評価が割れていた。無印良品の「PP収納ケース 引出式・小」は、抜け落ち防止のロックがありながらフルオープンにでき、奥のほうまで収納しやすいと評価されている。カインズの「引き出し衣装ケース M クローゼット用」は同じロック機構を持ちながら、「最後まで引き出す前に止まるので、奥のほうは出し入れがしにくい」とされた。

ロックの有無で分かれたのではなく、止まる位置で分かれている。

同じことを、買った側から書いている人もいた。今回の比較に入れたFitsロングのレビューに「奥行きがあってしっかり収納できますが、奥のものを取り出しにくいのが難点です」という投稿がある。奥行74cmを選んだうえで、奥の分をあきらめている。

そして止まる位置は、たいていの商品ページに数字で出てこない。届いてから分かる項目に、頭より高い棚を賭ける気はない。目線より上に置く箱に、引き出し式は要らない。 『LDK』の編集部も、引き出し式は奥が見えづらいから「あまり高すぎる場所には置かないようにしましょう」と助言している。

KABAKOは、押入れの上段とベッド下を名指ししている

前開きの側は、数字の細かさで割れる。天馬のKABAKOクローゼットは、中に入れる物の耐荷重をSからワイドMまで7サイズ分持ち、積める段数もサイズごとに分けている。扉を開けたときの穴の大きさ(最大開口部)まで数字が出ている箱は、なかなかない。

そのページの説明文の頭は「開口サイズが大きく、洋服を重ねたままでも出し入れが楽です」。靴下や下着、タオルの収納に向く、と続く。そして「前開きなので、高い場所に置いても使いやすい仕様になっています」。高さの低いサイズには「引き出しタイプではないので高い場所でも出し入れしやすく、フラップ式なのでベッド下のスペースからケース本体を取り出すことなく、中身を取りだすことができます」とある。押入れの上段とベッド下という、引き出し式がいちばん苦手な2か所がそのまま出てくる。

売る側が自分の箱を高い場所向きと書くのは当たり前だ。効いたのはレビューのほうだった。「高い所の収納にぴったり」「クローゼットの棚上も有効活用したく購入しました」「高いところでも入れやすく出しやすい」。枕棚、クローゼットの上段と、置き場所として挙がる場所が販売ページの説明とそのまま重なっている。

ここで私の中では決着がついた。

3点を並べる

前開きが1点、引き出しが2点。置ける高さの順に並べる。

商品(店) 価格 レビュー 開閉方式 奥行 積み重ね・耐荷重
天馬 KABAKO クローゼット 単品〜セット(リビングート) 2,070円〜 4.75 / 72件 前開き(フラップ扉・スライド収納) 40〜42cm サイズ別に2〜4段(中身4〜8kg)
Fits フィッツケース ロング 4個セット(リビングート) 17,680円 4.73 / 1,427件 引き出し 74cm 3段まで(3段時25.5kg・1段5.4kg)
アイリスオーヤマ BC-L 3個セット(収納宅配館) 4,480円 4.22 / 1,706件 引き出し 50cm 3段まで(同サイズ限定・耐荷重の記載なし)

表の値段とレビュー件数は、記事を書いた日の写しだ。動いたあとの本物は、商品カードのほうに出ている。

3点とも組立は要らない。届いた箱を開ければ、その日から服を入れられる。ここで差が付かない以上、組立の有無は選ぶ材料にならない。

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KABAKO|背が高いサイズほど、積める段数が減る

4.8リビングート楽天市場店

¥2,070税込

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中に入れる物の耐荷重は、Sが約4kg、Mが約5kg、Lが約6kg、いちばん大きいワイドMで約8kg。積み重ねの上限は、高さ22cmのSが4段、高さ31cmのMが3段、高さ41cmのLは2段まで。容量を増やそうとして背の高いサイズにすると、積める段数のほうが減っていく。

外寸はSが幅45×奥行40×高さ22cm、Mが幅45×奥行42×高さ31cm。最大開口部はMで幅40×高さ22cm。素材はポリプロピレンで、組立状態は完成品。フタはスライド式で本体に収納でき、開けたままにできる。

仕切りは付かない。中で分けたいなら、袋か小箱を自分で足すことになる。ただ、靴下や下着をここに入れるなら私は足さない。前面が全部開く箱で、中身は立ったまま見えている。仕切りは金を掛ける場所ではない。

レビューは72件で、引き出し2点の1,400件台・1,700件台とは桁が1つ違う。ただ内訳は5が56件、4が15件、3が0件、2が1件、1が0件で、低いほうにほとんど落ちていない。件数の少なさを理由にこの箱を下ろす気にはならなかった。頭より高い棚に置く1個目は、この箱にする。

Fits フィッツケース ロング 4個セット(引き出し式)PR

Fitsロング|奥行74cmは、押入れ用の数字

4.7リビングート楽天市場店

¥17,680税込

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外寸は幅39×奥行74×高さ23cm。引出内寸は幅33.7×奥行69.4×高さ18cmで、外側との差はレールの分だけ食われている。

耐荷重は3段重ねた状態で約25.5kg、引き出し1段では約5.4kg。備考欄には「Yシャツが約15枚、スウェットシャツが約12枚」という収納目安まで書かれていた。組立状態は完成品。積み重ねて使う場合、1段ごとに高さが約1cm下がるという注意書きもある。

置き場所として出てくるレビューは押入れとベッド下ばかりで、「20年使ってても全く壊れなくて」「10年以上使ってます」と年単位の話を書く投稿が複数あった。長さの代償を書いた声もある。「奥行きがかなり長いので色々詰められる分引き出しが重くなるので中身の入れ方を考えて使いたい」。

奥行74cmは、押入れ収納の定番サイズだ。容量を増やす数字というより、置き場所を1か所に決めてしまう数字だと私は読んでいる。クローゼットに入れるなら、この1点は大きすぎる。床の上で使う人にだけ勧める。

アイリスオーヤマ BC-L 3個セット(引き出し式)PR

アイリスBC-L|外寸39×50、引出内寸は33×45

4.2収納・家具・寝具の収納宅配館

¥4,480税込

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クローゼット向けの奥行50cm。外寸幅39×奥行50×高さ23.2cmに対し、引出内寸は幅33×奥行45.0×高さ17.9cmで、内容量は約27.7L。収納の目安はTシャツ12枚、セーター4枚、バスタオル6枚。

Q&Aのコーナーには「完成品で届くため、開梱後すぐに使えます」「同サイズで最大3段までのスタッキングが可能です」と、組立と段数の答えが並んでいる。

ただし、その3段が何kgを支えるのかはどこにも出てこない。床に1段で置いて衣類を入れるだけなら、空欄のままで困らない。3点の中でいちばん安く、クローゼットの奥行にも素直に収まる。上に積む使い方だけ、後ろの節で外している。

「耐荷重」という言葉が、3つの数字を指している

中身・フタ・積み重ね

KABAKOの仕様欄には、中に入れる物の耐荷重(Mで約5kg)と、積み重ね使用時耐荷重(Mで約16kg・3段重ねた場合)が別々に並んでいます。同じシリーズのM2個組のページを開くと、内訳がもう一段細かく「収納物:約5kg/フタ荷重:約1kg」と書き分けられていました。フタの上に直接物を載せるなら約1kgまで、上にケースを積んだときにフタが支える上限が約16kg、と私は読んでいます。Fitsロングも同じで、3段重ねた状態の約25.5kgと引き出し1段あたりの約5.4kgは別の数字です。積み重ねる前に、その商品の仕様欄で3つを分けて読んでください。

読者

Mサイズは3段まで積めるんですよね。3段ぶん、中身も好きに入れていいですか。

ORZO

中に入れる物は1箱あたり約5kgまでです。16kgのほうは、上に載るケースとその中身をフタが支える側の数字になります。

読者

高い所に積むなら、どのサイズを選べばいいですか。

ORZO

段数の上限はサイズで変わります。高さ22cmのSが4段まで、高さ41cmのLは2段まで。上へ伸ばす前提なら、背の低いサイズを数で並べるほうが仕様の範囲に収まります。

押入れとクローゼットで、奥行の話が変わる

衣装ケースは業界の慣行として、クローゼット用は奥行53〜55cm、押入れ用は奥行74cmでサイズ展開されることが多いと『LDK』はまとめている。天馬は2023年、この二択の外に奥行40cmの新シリーズ「FC40」を出した。近年の住宅事情に合わせた、使用シーンを選ばない奥行という位置づけだ。

今回の3点をこの物差しに当てると、Fitsロングの奥行74cmは押入れ用、BC-Lの奥行50cmはクローゼット用に近い。KABAKOは40〜42cmで、どちらの慣行にも乗っていない。同じ天馬がFC40で選んだ奥行と同じ帯にいる、と言ったほうが近い。

押入れの上段、クローゼットの棚上、ベッド下。奥行40cm前後の箱が置かれるのは、だいたい目線より上か、床すれすれのどちらかだ。だから53〜55cmか74cmかの二択に付き合う必要はもうない。高い場所と床すれすれに載せる箱に限れば、40cm前後で足りる。

奥行が決まっても、まだ段ごとの高さが残る。そこは押入れの段に5点を当てはめた記事のほうが早い。

上に積むなら、耐荷重の数字が無い箱は買わなくていい

整理収納アドバイザーの藤井ふみ子氏は、カバコのような前開きスタッキング収納ケースを、引き出し式の衣装ケースとは別の「棚」収納だと位置づけている。プラスチックなので耐荷重がなく、ケース内の空間も分けにくい。服を少し多めに入れると蓋が浮く、という読者の声も紹介されていた。

指摘は半分当たっていた。空間を分けにくいのはそのとおりで、KABAKOにも仕切りは付かない。耐荷重のほうは、サイズ別の数字がページに出ている。蓋の話は楽天のレビューにも近いものがあって、「詰め込みすぎると、ふた部分のスライドがうまくいかなくなるので、ゆったり目に入れてます」と書かれていた。詰めすぎると蓋の側から先に不具合が出る、という点では両方が同じ場所を指している。私は、蓋が浮いたら入れすぎの合図として扱う。

だから棚型かどうかは、買う理由にも買わない理由にもならない。効くのは重さの数字が出ているかどうかだ。BC-Lは3段まで積めると書いておきながら、その3段が何kgを支えるのかを書いていない。1段で床に置くなら、それで足りる。上に積むつもりなら、耐荷重を書いていないケースは買わなくていい。 段数だけの表示は、載せていい重さについて何も言っていないからだ。

結び

押入れの上段に手を伸ばすとき、要るのは引き出しを支える力より、扉を開けるだけの動作だった。

「引き出し」も「前開き」も、名前が言っているのは扉の向きだけだ。中身が見えない高さに置くなら、本体ごと引く箱は最初から候補に入らない。

レビューに「クローゼットの棚上も有効活用したく購入しました」と書いた人は、箱より先に場所を決めている。順番はそれでいい。先に決まるのは形式の名前ではなく、置く高さのほうだ。